肩の痛み

肩の痛み

肩こり

人間が後ろ脚で立って前脚を肩からぶらさげるという二足歩行をする以上、宿命ともいえる症状です。

前脚を体につなげている肩関節は腕の重さで肩甲骨ごと下に下がってしまいます。これを引き上げているのが僧帽筋や肩甲拳筋で、この筋肉の筋力低下や慢性的な負荷がこりの原因と考えられています。根本的な治療は筋力増強訓練や姿勢の矯正です。消炎鎮痛剤や筋弛緩剤の内服と、干渉波等による筋肉への電気刺激や温熱療法で血流の改善を狙います。
最近では、超音波を見ながら僧帽筋と肩甲拳筋の間に生理食塩水を注射するハイドロリリースという治療法が有効であることが発表され、当院でも行っています。

五十肩

特別な外傷や感染などの原因がなく、肩に痛みと運動制限を起こしてくる様々な病気のうち、中年以降で肩の動きが高度に制限されたものを、いわゆる五十肩と言いますが、正式な診断名ではありません。初めのうちは夜間から朝方の強い痛みと、肩を動かしたときの痛みで肩が挙がらなくなり、衣服の脱ぎ着が困難になります。腕にも痛みが走ることがあります。2~3ヵ月で自然に痛みは軽くなり動くようになる場合もありますが、長くかかる場合は肩の関節に癒着が生じ、痛みは軽くなりますが肩は動かない状態となり「凍結肩」と呼ばれます。治療は痛みの強いときには無理をせず、温熱療法や消炎鎮痛剤の内服ですが、肩峰下滑液包への注射が有効です。痛みを軽減させ、出来るだけ早く運動療法が開始出来るようにします。

腱板損傷

五十肩と区別しなければならない疾患が「腱板損傷」です。肩を動かす4つの筋肉が腱状になって肩の骨についていますが、加齢による変性などで断裂してしまうことがあり、五十肩同様に肩が挙がらなくなることがあります。
超音波による診断が有効です。若い人やスポーツ愛好家の場合、手術をする場合がありますが、中高年ではリハビリテーションが主体で、残った筋肉を強化して代用させます。

胸郭出口症候群

鎖骨と第一肋骨のあたりで神経や血管が何らかの原因で圧迫されて起こる疾患です。特有の症状はなく肩こりや腕のしびれやだるさ、痛みなどを訴えます。電車のつり革につかまっていると手がしびれてくることもあります。頚の骨の形の変形のために神経を圧迫していないか、鎖骨と肋骨の隙間が狭くなっていないかなどをレントゲンで調べます。治療は、筋肉トレーニングによって、筋力強化を図り、なで肩を解消します。筋肉の緊張を電気治療等で和らげ、レーザー照射や赤外線照射を行います。

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