膝の痛み

膝の痛み

外傷
  • 【1】靱帯損傷

    膝には四つの靱帯があります。

    強い力が膝に加わり、本来曲がらない方向に膝が曲がった場合や、捻られた場合に靱帯損傷は起こります。外力の加わった方向によって四つの靱帯がそれぞれ単独に、あるいは複合して損傷されます。前十字靱帯は、膝の中心にあって、太ももの骨に対して脛の骨が前に出ないように留めている靱帯です。スキーやバスケットボールなどでの受傷が多く、関節に大量の血が溜まります。MRIで診断を確定したあと関節鏡検査を行います。若い人の場合は新たに靱帯を作る靱帯再建手術をしないと、半月板が二次的に壊れてしまうため、早いうちから「年寄り膝」になってしまいます。膝の内側や外側の痛みはそれぞれ内側側副靱帯損傷や外側側副靱帯損傷でギブスによる治療が主体となります。

  • 【2】半月板損傷

    膝の関節の中にある軟骨で出来た厚い舌状のもので、半月というより三日月型をしています。膝に体重がかかったときに骨と骨との間に挟みこまれて断裂し、膝の屈伸が出来なくなったりします。また、しゃがんだ際に膝が引っかかり、自分の力で伸ばすことが出来なくなることもあります。(ロッキングといいます)程度の軽いものは、時間の経過と共に痛みが消えていきますが、痛みが続くものや膝の引っかかりが頻回に生じる場合は手術が必要です。

スポーツ障害
  • 【1】ジャンパー膝(膝蓋骨付着部炎)

    バスケットボール、バレーボール、走り高跳びなどジャンプすることの多い競技者の使い過ぎ症候群です。ジャンプ動作の繰り返しが膝のお皿(膝蓋骨)と大腿四頭筋や膝蓋腱との接合部に炎症を起こす原因となり、お皿の上下に痛みがでます。石灰が溜まることもあります。

    局所へのレーザー照射が有効で、ジャンプ動作を控えることで症状は軽快します。大腿四頭筋のストレッチも行います。

  • 【2】腸脛靱帯炎

    長距離ランナーやサイクリング、ジャンプ系競技に多く見られる靱帯と骨との摩擦による炎症が原因です。別名「ランナー膝」と呼ばれています。腸脛靱帯とは太腿の外側を走る太くて固いバンド状の筋肉です。

    腸脛靱帯が膝の外側の骨(大腿骨外側上顆)とこすれあって炎症が起こります。スポーツ時に膝外側の痛みがあり、ひどくなると日常の階段昇降でも痛むようになります。治療は患部へのレーサー照射や腸脛靱帯のストレッチ、ランニングフォームから0脚の矯正を行います。難治例には、局所麻酔剤とステロイドの注射を行うこともあります。靴も重要で、外側が擦り減った靴はクッションの良い新しいものに履き替えることが有効です。

  • 【3】鵞足炎

    ランニングやサッカーで膝を曲げる筋肉群(ハムストリングと言います)に負荷がかかると、筋肉と骨の接合部に炎症が起こります。
    脛の骨についてる筋肉の形が鵞鳥の足に似ているため、鵞足炎といいます。症状はスポーツ時の膝内側の痛みですが、階段や立ち上がり動作で痛むこともあります。

    治療は患部へのレーザー照射や消炎鎮痛剤の内服、ハムストリングのストレッチをおこないます。難治例には注射が有効です。

変性疾患
  • 【1】変形性膝関節症

    歳をとった膝の痛みです。最初は膝の裏側のつっぱり感や、床からの立ち上がりの時の痛み、朝の階段を降りる時の痛みなどですが、進行すると歩行でも痛みが出るようになり、正座が出来なくなります。歳をとるとO脚になる場合が多く、膝の内側で体重を支えるようになるため、内側の関節の軟骨が減ってきます。レントゲンでは関節の内側の隙間が狭くなり骨にとげが出ていることもあります。

    治療は大腿四頭筋の筋力強化や、消炎鎮痛剤の内服、温熱治療、ヒアルロン酸の関節内への注射などを行います。足底板といってO脚を矯正する装具を使うのも有効です。痛むからといってまったく歩かないのは良くありません。適度に歩くことで軟骨に栄養がいきわたります。炎症が強い場合は水が溜まることがあります。よく「水を抜くと癖になる」と言う人がいますが、これは全くの間違いです。

    水の中には炎症を起こす物質が含まれていますので、たまった水は抜いてかわりにヒアルロン酸を注入します。たまった水を抜いてあげるだけで膝が軽くなり曲げやすくなります。

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